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先日、相続放棄の相談がありました。
メイン担当は田中司法書士だったので、自分のお仕事のように書くのも何ですけど。
その中で、なかなか面白い論点に遭遇したので、ご紹介します。
相談内容にはいくつかの論点が含まれていたのですが、中でも特筆すべきものが、
「被相続人の預金が10万円ほど残っているが、それ以上に債務があるのは間違いないので、相続放棄をしたい。でも私が葬儀費用を負担したので、同預金を引き出して葬儀費用の一部に充て、そのうえで相続放棄したい。」
という点でした。
この問題については、
「相続財産による相続債務の弁済は、(異説もあるけれども)基本的には相続債権者の衡平を害するおそれがあるとして処分行為とされてしまう可能性が強いです。そうなると、単純承認があったとみなされるので、相続放棄の効果が無効になりますよ。」
という回答が妥当だと思うのですが、そのような趣旨の回答を田中司法書士がお伝えしたところ……
相談者いわく、「常識的な範囲の葬儀費用なら、相続財産からの支出を認めた判例があると聞いたことがあるのですが……」とのこと。
えーっ、そうなの~!Σ( ̄□ ̄)、と慌てて実務書を漁ったのだけど、すぐには発見できず。
まぁ、その相談の場では、太田から
「仮にそういう裁判例があったとしても、常に同じ結論が妥当するとは限らないし、決行しちゃうのはリスクが高いのでは。そもそも葬儀費用って、法律的には相続財産から支出するべきものではなく、喪主が負担するべきものだし(※)。」
ということをご説明して、とりあえず預金には手を着けず、普通に相続放棄を目指す方針で行くことになったのです……が。
(※ この点については、http://bit.ly/12Htkxk や http://bit.ly/12Htl4h をご参照下さいませ。)
あとでじっくり実務書をめくってみたら、確かにそういう裁判例があるんですね。
新日本法規「相続の承認・放棄の実務」の173ページ(ただしh15年版)によれば、
「被相続人の葬儀費用を相続財産中から支払った場合について、身分相応の、当然営まれるべき程度の葬儀を行った費用であれば、相続財産から支出しても、単純承認事由には当たらないとする判例がある(東京控判昭11.9.21……)」
とのこと。でも戦前の裁判例ですからねぇ。どうでしょうねぇ。
同様に、やむを得ず負担せざるを得なかった火葬費用と治療費残額の支払いに充てたケースで、単純承認を否定した先後の裁判例もあるようです(大阪高決昭54.3.22)。
でも火葬と葬儀も違いますからねぇ。どうでしょうねぇ。
ってなわけで。
いずれにしてもリスクを考えれば、裁判例があるからといって結論だけを鵜呑みにするわけにいかず、やはり相続財産には手を着けずに相続放棄!というのが無難、という結論は変わらないのですけれどもね。
にしても、相談者さんはどこでこの裁判例を知ったのでしょう?
今度ご連絡を取る際には、その辺を尋ねておきたいものです。
===========
【h25.7.6 加筆】
田中司法書士がもっと詳しく調べてくれました(ありがとうございました!)。より新しい裁判例もあるようですね。
→http://on.fb.me/12MdAZL
「葬式費用の支払いと単純承認/弁護士の法律相談」
→http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/so/shonin.html
昨日の夕方、長女(風邪気味だけど元気!)とお散歩していたら、公園に水鉄砲が数丁、放置されているのを発見。
長女が遊びたいというので、ちょっと拝借して水を入れてあげたら……自然に「バイオハザード」状態に!

太田の業務日誌/平成25年6月28日
【金曜日】
今日は、事務所内での立会い1件を担当したものの、あとはデスクワーク。
主に、新件の登記手続請求訴訟の準備というか、構想を練りながら過ごした。なんか最近、登記訴訟が多い。
今回は「条件付所有権移転仮登記」の抹消を求めるために訴訟を提起する予定なのだが、同仮登記がそもそも2人の共同名義。
うち1人からは抹消登記の「承諾書」を貰えたけれど、もう1人が亡くなっているので、その相続人らを被告として(申し訳ないけど)訴えさせていただく、というもの。
だって相続人が何十人もいるので、いちいちハンコ貰ってられないんだもの。ごめんなさいね~。
この場合、被告らには「抹消登記手続」ではなくて、その承諾を求めることにならざるを得ないんだけれども、「登記義務」じゃなくて「承諾義務」があるとダイレクトに主張しちゃって差し支えないんだろうか? 名義人の一部からすでに「承諾書」を貰えているから、残りの人からも「承諾」が欲しい、という原告側の都合による選択でしかないんだけれども……
直観的には、特に問題ないように思えるのだけど、もし裁判官殿に突っ込まれると、困っちゃいそう。いざというときにアタフタしないよう、実務書をいろいろひっくり返しながら理論を練っているけれど、もうちょっと熟成が必要だな~。
【金曜日】
今日は、事務所内での立会い1件を担当したものの、あとはデスクワーク。
主に、新件の登記手続請求訴訟の準備というか、構想を練りながら過ごした。なんか最近、登記訴訟が多い。
今回は「条件付所有権移転仮登記」の抹消を求めるために訴訟を提起する予定なのだが、同仮登記がそもそも2人の共同名義。
うち1人からは抹消登記の「承諾書」を貰えたけれど、もう1人が亡くなっているので、その相続人らを被告として(申し訳ないけど)訴えさせていただく、というもの。
だって相続人が何十人もいるので、いちいちハンコ貰ってられないんだもの。ごめんなさいね~。
この場合、被告らには「抹消登記手続」ではなくて、その承諾を求めることにならざるを得ないんだけれども、「登記義務」じゃなくて「承諾義務」があるとダイレクトに主張しちゃって差し支えないんだろうか? 名義人の一部からすでに「承諾書」を貰えているから、残りの人からも「承諾」が欲しい、という原告側の都合による選択でしかないんだけれども……
直観的には、特に問題ないように思えるのだけど、もし裁判官殿に突っ込まれると、困っちゃいそう。いざというときにアタフタしないよう、実務書をいろいろひっくり返しながら理論を練っているけれど、もうちょっと熟成が必要だな~。
今日は、お得意先の会社の、「創立二十周年記念式典並びに祝賀会」というのにご招待いただきまして、我々から見れば管轄外の板柳町まで、はるばる来ております。
16時開始なので、飲み始めるのは17時から、とかなんだろうなぁ。
でも板柳から弘前まで代行車で帰る、となると大変なので、今日ばかりは「飲まず」で通したいっ……
全力を持って、ビールを注がれたりしないように頑張らなければ!
みんな!オラに力を分けてくれ!(≧∇≦)

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