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法務Q&A

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Q.成年後見制度とはどのような制度ですか?

A

判断能力が不十分の方々を、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。


 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

(久保@わかば)

Q.成年後見制度は具体的にどのような場面で利用することが多いのでしょうか?

A

司法書士業務に関連しての実例をご紹介します。


①遺産分割協議のケース


 平成21年4月1日甲野太郎が死亡した。甲野太郎は八戸市内に不動産を所有していました。甲野太郎の相続人である妻の甲野花子は、その不動産を自分の名義にしたいと考え、乙司法書士事務所へ相続登記の相談に行きました。司法書士乙は事情を聴取していたところ、甲野太郎の子である甲野一郎が2年前から交通事故により受けた傷害により寝たきりとなっており、会話をすることができないことが判明した。司法書士乙は甲野一郎のために成年後見人を選任しないと遺産分割協議はできないので、成年後見人を選任する必要があるとアドバイスした。

②不動産売却のケース


 乙司法書士事務所に不動産の売買の立会を依頼しに丙村次郎が訪ねてきた。不動産登記簿や権利証、印鑑証明書などを確認するとその不動産は丙村三郎の所有であることが判明した。丙村次郎によると、丙村三郎は父親であり、父親は認知症になっているのであるが、この程有料老人ホームに入所することとなり、その入所費用を捻出するために、早急に不動産を売却する必要があると話した。司法書士乙は、不動産の売買については本人(=所有者)の意思確認が絶対不可欠であり、三郎が認知症であり判断能力が著しく減退しているのであれば意思確認をすることはできないため、三郎に対し成年後見人を選任し、成年後見人が代理して売買契約を締結しないと、不動産の売買は進められないとアドバイスした。

③相続放棄のケース


 平成21年5月5日丁川五郎は数千万円の借金を残して亡くなった。丁川五郎の妻である丁川明子は相続放棄の相談に乙司法書士事務所へ訪れた。司法書士乙が事情を聴取したところ、丁川五郎の相続人は妻である明子のほかに先天性知的障害者の丁川十郎(25才)がおり、今も障害者施設に入所しているとのことであった。司法書士乙は丁川十郎が丁川五郎の相続関係が理解できないのであれば、相続放棄の申述を家庭裁判所へすることはできないので、成年後見人を選任する必要があるとアドバイスした。

(久保@わかば)

Q.成年後見制度にはどのようなものがあるのですか?

A

法定後見として「成年後見」「保佐」「補助」の3類型があり、その他「任意後見」があります。


 法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
 任意後見制度においては、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。
 なお、成年後見人等が行う業務は法律行為であって、事実行為は行いません。つまり、オムツを替えたり、日用品の買い物に行ったりすることはありません。

(久保@わかば)

Q.「成年後見」制度とはどのような制度ですか?

A

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度です。


 後見制度を利用すると、家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人または成年後見人が、本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、取消しの対象になりません。

(久保@わかば)

Q.「保佐」制度とはどのような制度ですか?

A

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。


 保佐制度を利用すると、お金を借りたり、保証人となったり、不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について、家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。保佐人の同意を得ないでした行為については、本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし、自己決定の尊重の観点から、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、保佐人の同意は必要なく、取消しの対象にもなりません。また、家庭裁判所の審判によって、保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり、特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます。

(久保@わかば)

Q.「補助」制度とはどのような制度ですか?

A

軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力の不十分な方を保護・支援するための制度です。


 補助制度を利用すると、家庭裁判所の審判によって、特定の法律行為について、家庭裁判所が選任した補助人に同意権・取消権や代理権を与えることができます。ただし、自己決定の尊重の観点から、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、補助人の同意は必要なく、取消しの対象にもなりません。

(久保@わかば)

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