【法務】現存しない建物の登記記録


2012年8月21日 / 投稿者:

 太田@あおばです。

 土地の売買に関わると、結構な頻度で、「建物の登記記録はあるんだけれども、実はその建物が現存していない」というケースに出くわすことがあります。

 建物が取壊されても、その登記記録が自動的に抹消されるわけではありません。法務局で「滅失登記」をしていただく必要があります。
 そのためには、建物の名義人側から「申請」したり、利害関係人(敷地の所有者など)から「申出」をしなければならないのが原則です。これは土地家屋調査士のお仕事になります。
 誰も動かなければ、「現存しない建物の登記記録」だけが残っちゃうわけです。

 この辺を判断するために、実務上の「コツ」として役立つのが、「登記記録上、『建築年月日』欄が空欄の建物は、相当古いぞ!!」というものです。
 「建築年月日」が登記されるようになったのは、昭和40年前後の制度改正(いわゆる「登記簿・台帳一元化」)後のことらしいのですね。
 となると、この建築年月日が空欄の建物は、それより前に建った建物、つまり築50年とか、あるいはそれ以上古い建物だ、ということになります。結構な確率で、現存していないことが多いです。

 実は、ちょうど今日、ある不動産屋さんから持ち込まれた案件で、この「コツ」が活きたものがありました。

  •  実は青森県ではなく、隣県のA県O市の物件なのだけれど、地元の司法書士さん2軒に「良く分からん?」と断られた。
  •  土地の売買を行いたいのだけど、建物が1棟建っている。
  •  その建物の登記記録を調べると、すでに解散した法人の名義になっていて、法人の清算人は選任されていない。

 ……という案件。

 太田は、古い法人の清算人選任申立てを行った経験も何度かありますので、「そんなんで断る司法書士もいるのねぇ」とか思いながらノホホンと受け付けたのですが……。

 真っ先に目に付いたのが、その建物の「建築年月日」欄が空欄になっていることでした。

 となると、この登記記録の建物が、現在建っている建物と、同一性がないのでは?ってことを、まずは疑う必要があります。
 そう、不動産屋さんに水を向けると、登記上は木造なのに、現実の建物は鉄骨造との情報が。
 おやおや、と思いながら市役所の固定資産税の課税明細を見せて貰うと、案の定、「家屋番号」の欄に「○番の2」との表記がなされています。登記上の家屋番号は「○番」なので、こりゃ違う建物で確定!ということになります。
 実際、家屋番号「○番の2」で閲覧してみたら、ちゃんと新しい建物の登記記録が見つかりました。新旧の建物は、構造は違えど、床面積などは結構類似していましたので、これまでも混同されてきたようです。情報を総合すれば、古い建物は昭和のうちに取り壊されちゃってるのが実際のところなのに、登記簿上では、平成に入って根抵当権の設定登記がされていたりとか(^_^;)

 結果的には、全く悩むことなく、現存しない「○番」の建物については、土地の名義人が利害関係人として「滅失登記の申し出」をすることで、解決できる事案でした。建物の名義人の古い法人の方については、結局ノータッチで済むことになります。

 ちょっとしたノウハウが身についているかどうかで、解決スピードが全然違って来ちゃいますね、という実例でした。



カテゴリー:太田宜邦のblog



 

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